水虫（白癬菌）に消毒薬・殺菌剤は効くのか？
消毒薬・殺菌剤でも白癬菌は殺菌できる？
白癬菌は真菌に属する糸状菌です。消毒薬の中にはこの糸状菌に有効なものもあります。
そのため、白癬菌を消毒薬で殺菌することはできます。
しかし、治療薬としては使用しないでください。
消毒薬は細菌の細胞膜を破壊することで菌を殺すのが一般的な作用です。そして影響を与える細胞の種類は選びません。
これは、非選択的に細菌を殺してくれる（さまざまな種類の細菌を殺す）ということですが、ヒトの皮膚の細胞膜にもダメージを与えるということです。
これに対して、水虫薬に使用される抗真菌薬とは、水虫の原因となる白癬菌などの真菌に選択的に働いてくれます。
また水虫薬は皮膚への浸透性に優れており、内部の菌まで殺菌してくれますが、消毒薬は浸透性を考慮して作られていません。
消毒薬・殺菌剤は治療薬ではないということを前提に、以下に消毒薬と殺菌効果を記します。
消毒薬・殺菌剤各種と真菌（白癬菌）への効果
グルタラール（グルタルアルデヒド）
- 真菌に対して有効で、高い殺菌効果があります。
- 人体への毒性も強く、皮膚、気管への強い刺激性があり喘息の原因となります。
- 危険なので、人体への使用はできません。
ヨウ素剤
- ヨードチンキ、ポビドンヨードなど。
- うがい薬によく使用されますが、ヨウ素配合のハンドウォッシュなどもあります。
- 真菌に対して有効ですが、一部の真菌には効果がなかったことが報告されています。また洗浄程度の時間で死滅させることは難しいです。
塩素類
- 次亜塩素酸ナトリウム、クロル石灰など
- 次亜塩素酸ナトリウムは哺乳瓶の殺菌などによく使用されています。
- 真菌に対して有効です。
アルコール類
- エタノール、イソプロパノールなど
- 一般的に消毒に用いられる70%アルコールは真菌の殺菌効果があります。
- 真菌（特に糸状菌）の殺菌には2分～10分必要です。
*消毒に効果的なのは70%～80%のアルコールです。100%のものを購入した場合は希釈しましょう。消毒用とされているものはあらかじめ最適な濃度にされています。
過酸化水素水（オキシドール）
- 真菌に対して有効で、高い殺菌効果があります。
- 傷口の消毒薬としてよく使われていました。
- （最近の傷薬にはベンゼトニウム塩化物が使われています）
逆性石鹸
- 塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなど
- 真菌に対して殺菌効果がありますが、高濃度で長時間使用する必要があり、使用上有効とは言いにくいです。
- 3段階の殺菌力区分では最も低い低水準に分類されます。
フェノール類
- クレゾール石鹸など
- 真菌への殺菌効果がありますが、それほど大きくはありません。
消毒薬で治療はできません
上記のとおり、消毒薬の中には真菌を殺菌できるものがあります。しかし
- 人体、皮膚へのダメージがある
- 皮膚に浸透しないので、角質の置くまで入り込んだ白癬菌を殺菌できない
などの理由から、治療はできません。皮膚にダメージを与えると、白癬菌およびそれ以外の細菌にも感染しやすくなるので逆効果です。
本ページの冒頭にも書きましたが、真菌に対して選択的に働く抗真菌薬（水虫薬）がもっとも安全で弊害がありません。また殺菌効果が24時間続くなどメリットも大きいです。
治療には水虫薬を使いましょう。
使用している物に付着した白癬菌を殺菌したいという場合は上記の消毒薬は有効ですよ。とくにアルコールは使い勝手もよく汎用性も高いのでおすすめです。
